2014/12/02

地元大学生が案内する、豊かな森林と青い海の国「高知」 Ternで行くオトナの女子旅 田野〜吉良川〜室戸岬〜北川村 編


自転車を鉄道など公共交通機関に持ち込んで移動する「輪行」を取り入れた旅を楽しまれる方が年々増えています。地元の見どころを自転車で巡り、美味しいものをいただいて…計画を立てるだけでもわくわくしますよね。そんな時にはサッと折りたためるTernのフォールディングバイクがあればとても便利。

今回の記事では、グルメ王国「高知」の東部エリアを黒潮の流れに沿って土佐くろしお鉄道で輪行し、終点の一つ手前の田野駅から、空と海と大地がひとつになる場所「室戸」までをサイクリング。翌日は室戸岬からの復路沿いに観光し、日本有数のゆずの産地「北川村」までを走る計画です。地元高知の大学生が旅のコンシェルジュとなっておすすめスポットをご案内しますので、ぜひご覧ください。


▼太陽が育む高知県東部エリアへの旅のスタート。

今回の旅の起点は、高知龍馬空港からアクセスの良い土佐くろしお鉄道 ごめん・なはり線の「のいち駅」。さっそくバイクを折りたたんで輪行袋に入れ、エレベーターで早めにホームに上がって列車を待ちます。

日本最後のローカル新線として平成14年に開通した「ごめん・なはり線」。高知県東部の南国市と奈半利町を、土佐湾沿いに42.7km全20駅で結び、高知県出身の漫画家やなせたかし氏が考案した駅キャラクターが全ての駅に存在するなど、全国的にも珍しい鉄道として走っています。

ここ「のいち駅」のキャラクターは、ピエロのような格好をした「のいちんどんまん」。香南市野市町で行われるイベント、「ちんどんコンクール」に由来しているそう。輪行袋に収められたバイクは2015年モデル最大の注目モデル Verge N8。フロントホイールをスライドしN字に折りたたむのに要する時間は10秒足らず。もちろん工具は不要の、日本人の体格に合わせた限定モデル。

ごめん・なはり線では、風を感じながら景色が満喫できるオープンデッキ車両や、沿線に阪神タイガースのキャンプ地があることから誕生した阪神タイガース応援車両など、個性豊かな車両が走っている。

現地での案内や時刻表の表記などでは、すべて「ごめん・なはり線」で統一されていますが、これは愛称。正式名は「阿佐線」といいます。

土佐くろしお鉄道では、バイクを折りたたんでかつ専用のバッグに入れることで、無料でバイクを列車内に持ち込むことができる

ごめん・なはり線はトンネルが少なく、ほとんどが高架橋を走るため、視界を遮られることなく雄大な太平洋の眺めを満喫できる。南国高知を象徴する青い海が車窓いっぱいに広がり、心地よい鉄道の旅が約束される。列車はさらに、のどかな田園風景や緑豊かな山々を眺めながら走り、最初の立ち寄りスポットのある「田野駅」に向う。


▼四国一小さな町の、四国一元気な道の駅 田野駅屋。

終着駅「奈半利」駅のひとつ手前、田野駅で下車。駅に併設された「道の駅田野駅屋」を訪れました。店内には野菜や総菜、近隣市町村の特産品などがズラリと並び、朝から多くの人で賑わっています。


前日の午後や当日の朝早くに収穫された新鮮な野菜がたくさん並んでいて、地元の方も多く利用されている同店。特産品、加工品のほか、お惣菜やお寿司、お弁当など「ご当地グルメ」も評判だそう。店内には軽食コーナーもあるほか、近隣の中学校が生産したお茶のアイスや、天日塩を使った塩アイスなどのスィーツもいただけます。

日本有数のゆずの産地として知られる北川村も近いため、店内ではゆずを原料とした食品も多くみられる。

田野駅屋では、岡御殿をはじめとする歴史文化や、地元グルメ、お気に入りの町並みや風景、地元の方とのふれあいなど、田野町の魅力を感じてもらうために、レンタサイクルも行なっている。情報発信コーナーでは観光MAPも配布しており、至れり尽くせり。レンタサイクルは土佐くろしお鉄道の複数の駅のほか、ここ「道の駅 田野駅屋」をはじめとした多くの観光スポットにも用意されている。

レンタサイクルは手軽に利用できてありがたいサービスですが、Ternで行けば時間や場所に縛られずに移動できて更に便利。それではいよいよ本格的なサイクリング。次のスポット、吉良川へ向いましょう。



▼趣ある白亜の建物が軒を連ね、タイムスリップしたような吉良川の町並みを訪ねる。

真っ青な太平洋を右に見ながらTernで走って約40分。いにしえの風情をそのまま伝える吉良川町へ到着しました。古来より木材や薪などの森林資源の集積地として京阪神に出荷していた吉良川町は、明治時代より備長炭が生産され日本を代表する良質な備長炭となったことから、昭和初期にかけて繁栄し町並みが形成され、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。


切妻造りで土佐漆喰の白壁や、水切り瓦、「いしぐろ」と呼ばれる石垣など、どれも美しく、土佐の厳しい気候風土に対応した建築様式。そぞろ歩くだけでも、昔懐かしいひとときに浸ることができます。

町家は「つし二階」と呼ばれる天井の低い2階が多く、明かり取りのために「虫籠窓」という桟が取り付けられている。





国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されている吉良川の町並みの観光の拠点「吉良川まちなみ館」に入ってみました。資料の展示やマップの無料配布のほか、ゆっくり休憩できるスペースも。吉良川町へ来たらまずここを訪れると便利ですね。

吉良川まちなみ館は、平成9年10月に高知県で初めて「重要伝統的建造物群保存地区」に選定された吉良川町の町並みや伝統・文化・祭り・技術・先人が残した歴史ある町並みを次世代に残すことを目的とした、「NPO法人吉良川街並み保存会」により管理運営されている施設。




ノスタルジックな町並みを思い思いに散策しました。Ternのバイクは小回りがきくので、移動だけでなく路地の散策などにも便利ですね。



町家の壁面は土佐漆喰が多用されており強い風雨から家屋を守るために「水切り瓦」と呼ばれる小さな庇が設けられている。

室戸市は台風銀座とも呼ばれる台風常襲地区で、家の周囲は「いしぐろ」と呼ばれる石垣塀で囲んで家屋を風雨から守っている。いしぐろに使用する石は主に浜辺で採取される浜石と河原石の二種であり、玉石のまま使用したり半分に割って空積み・練積み(ねりづみ)という積み方で積まれている。

吉良川町では2015年2月28日に東部博プレイベントとして第10回土佐の町家ひなまつり特別企画「吉良川まちなみ夜のひなまつり」が予定されています。吉良川の町並みを使った夜間イベントで、町家のライトアップや御田八幡宮では津軽三味線と唄のライブなどが行われるそう。夜の吉良川もいいでしょうね〜。


▼重要伝統的建造物群保存地区のリノベーションカフェでオーガニックなランチを。

重要伝統的建造物群保存地区にある築120年の米蔵をリノベーションしたカフェ「蔵空間 茶館」でランチをいただきます。明治、大正時代に建てられた母屋や離れでは遍路宿としても活用されています。



バランス良く配されたエントランスの飛び石の周りには備長炭が敷き詰められてとてもお洒落。






のれんやカフェスペースへのアプローチに吊るされた瓦のサインなど、ひとつひとつがアート。

店内で生演奏をする機会も多いそうで、楽器が所狭しと置かれています。土壁、木の床、木の天井といった自然素材に囲まれた蔵の中での響きは格別だそうです。地元産出の土佐備長炭を100%使用した直火焙煎珈琲も美味しそう…。



ランチは合成添加物不使用のヘルシーなメニューから、あさりごはんとサラダ、スープのオーガニックにこだわったセットを。



▼眼下に太平洋の広がる、息を飲む絶景の宿へ。

蔵空間茶館をあとに、今日の宿のある室戸岬へ向かいます。岬へ続く海沿いの国道は景色が素晴らしいだけでなく、車道の幅が広く交通量も信号も少ないため、走りやすくていいですね。


蔵空間 茶館を出発して約40分、本日の宿「岬観光ホテル」に到着しました。室戸岬のカーブを過ぎてすぐ、ソテツとヤシに囲まれた明治ロマン香るレトロの館が現れますよ。



折りたためば小さくなるTernは玄関の中に置かせていただいた。

部屋に入ってちょっと一息。泊まった2階の部屋からは太平洋の広大な水平線が一望できました。狙ったのではなく、自然にアンティークな家具が馴染んだ部屋が心地いい。静かなので、読書に耽るのも良さそう。


夕食までの数時間、岬まで散策しながら太平洋を満喫しました。


浜辺で貝殻や色とりどりのシーグラスを集めるなんて、何年ぶりかなぁ。雲があったのでだるま夕日は拝めなかったけど、綺麗でしたよ〜!高知東部(安芸〜室戸岬)は太平洋に沈むだるま夕日を見るスポットとしても有名です。



だるま朝日・だるま夕日は、秋分の日ごろから春分の日ごろにかけて海面の海水温と大気の温度差により水蒸気に光が屈折して太陽がだるまのように見える現象。室戸市は太平洋に突き出た地形から、東にだるま朝日、西にだるま夕日を臨むことができる珍しい場所とされる。(写真は高知県観光政策課)


太平洋を望む部屋でいただく夕食もまた格別。にんにくの効いたカツオのタタキ、地魚の刺身など、地元でしかいただけない新鮮な素材が美味です。雄大な海に山に大地を感じ、新鮮な素材をふんだんに用いたグルメに酒に。太古の地球、先代の偉人たちに思いを馳せて、1日目の旅を締めくくりました。




▼自然の豊かさに身をゆだね、歴史を辿り、地元の方々とふれあい、美味に舌鼓。高知体感の旅2日目スタート。

旅の2日目は、宿のある室戸岬周辺を散策し前日通ってきた方向へ、室津港、北川村方面へと巡ります。部屋から朝日を拝み、オトナの女子旅2日目のスタートです!


大広間でいただく朝食は素朴ながらもヘルシーで「ザ・旅!」といった新鮮な体験。



快晴ではないけどサイクリング日和の空模様。青い太平洋が広がっています。



▼室戸ジオパークで地球の鼓動を感じる

緑豊かな山々を背に、目の前に広がる水平線。空と海と大地が溶け合うような室戸には、人の営みを見守ってきた名所や話題のデートスポットまで、数多くの見どころがあります。

まずはじめは、岬観光ホテルからTernで1分足らずの距離にある御厨人窟(みくろど)へ。隆起海蝕洞の奥に祠が祀られており、表に停めたTernの向こうに空と太平洋が広がる景色は幻想的。今から約1200年前、当時青年であった弘法大師が悟りを開かれたとされ、この洞窟から見える風景が空と海のみであることから「空海」の法名を得たとされています。「ヘェ〜〜〜〜〜〜!」

この御厨人窟の中で聞こえる自然の力強さを感じる音 〜岩に砕ける波の音、海底から聞こえてくるような地響きにも似た音〜 は、環境省「残したい日本の音風景100選」に選定されている。

岬の一帯の、海岸沿いに張り巡らされている遊歩道を歩いてみましょう。


四国八十八箇所を巡るお遍路さんの一行とすれ違い、雄大な太平洋をじっくりと満喫。さすが世界ジオパークネットワークに認定された場所だけありますね。



ジオパークとは、ジオ(地球)に親しみ、ジオを学ぶ旅、ジオツーリズムを楽しむ場所という意味で、いわば「地球・大地の公園」。ここ室戸岬は、2011年に日本で5番目に世界ジオパークとして認定された「室戸世界ジオパーク」の代表的なエリアで、あちこちでダイナミックな景観を楽しむことができる。




エボシ岩:室戸がまだ深海にあった頃(約1,400万年前)に海底下でマグマ活動が起こり、そのマグマが地中でゆっくり冷えて固まったもの。エリア内ではジオパークのいろはを詳しく学べるガイド板が設置されているほか、ガイドツアーなども充実している。

室戸ジオパークインフォメーションセンターに立ち寄れば、豊富な観光ガイドも入手可能です。

写真の、「カツオ」のぶつ切り頭と、人間を合わせたマスコットキャラクター「カツオ人間」は、高知県生まれの「キモカワ」キャラとして活躍中。

室戸岬特有の強風に耐えるために、気根がタコの足のように岩肌を抱きしめている「あこう」。室戸一帯に自生する亜熱帯植物で、天然記念物に指定されている。

山の上には空にとけ込むように美しい白亜の室戸岬灯台が。前日の夜、宿の部屋から満天の星空を眺めていたら、この灯台からの光が静かに動いていました。空、山、海…雄大な自然に触れることで、自然の一部としての人間の存在を改めて感じます。日頃のストレスも小さなものに思え、存分にリフレッシュできました。

「日本の灯台50選」の一つに選ばれた、室戸岬のシンボル。明治32年に初点灯されて以来、室戸沖を通る船の安全を願い、海を照らし続けてきた。国内最大級のレンズは直径2.6mもあり、夜の太平洋に向けて約49km先まで光を届けている。



▼ジオパークの食処であり台所、室津港でキンメ丼を。

11月中旬というのに、南国には明るい日差しが降り注ぎます。次は岬からTernで15分ほどの距離にある室津港へ。街歩きをした後、昼食とします。どこか懐かしい漁村の情緒。



ここ室津港は荒磯を掘り込んで造った港で、拡張工事がされていったため奥行きがあることから海が荒れた時にも多くの船が避難でき、良港であったと伝えられています。地震で大地の隆起によって港の水深が浅くなるたびに港を掘り下げ、掘った土砂を住宅地に上乗せしたため、水面と住宅の高さが大きく違います。日本最古の掘込み港といわれています。




室戸市には、海の安全と大漁を祈願する神社仏閣や碑があちらこちらにあります。ここ津照寺(しんしょうじ)は、807年に空海が開いた、四国第25番霊場。内陣にまつられている本尊の延命地蔵菩薩は、藩主山内一豊の船を救ったという話もあります。本堂に向う石段は真直ぐと天に続くかのような趣、かなりの急勾配。石段の途中には竜宮城を思わせるような鐘楼門兼仁王門があり、石段を昇りつめた所、本堂横からは太平洋が広がります。眼下には室津川の河口と室津港、右の方には26番金剛頂寺が見え、素晴らしい景色が広がっています。








室戸では、典型的な海岸段丘の地形を見ることができますが、海の中にも急峻な崖があり、海岸に近い場所で急激に深くなるため、潮の流れから集まった小魚を追う大きな魚も集まり、港から近い場所に良い漁場を持ちます。そのため鮮度の高い高級魚・金目鯛を水揚げでき、室戸は金目鯛の西日本一の漁獲量を誇ります。






昼食は、室戸産金目鯛の照り焼きと、室戸産の新鮮な魚を刺身にしてご飯といただく、ご当地グルメ「室戸キンメ丼」をいただきます。室戸キンメ丼は、素材も含め厳格に定められたメニュー内容を一律1,600円で提供しているもので、現在室戸市内の7店舗で提供されています。



※現在「室戸キンメ丼」が提供されているのは「釜めし 初音」「食事処 民宿 とさ」「遍路の駅」「ホテル明星」「室戸岬 最御崎寺へんろセンター」「料亭 花月」「和風レストラン みやび」の7ヶ所となります。

写真は、室津港内港を眼下に見下ろす「料亭 花月」での室戸キンメ丼。室津港に戻った花月丸から、店内の生け簀に活きたまま移された魚を厨房で調理するため、身が綺麗で歯ごたえのある新鮮な状態でいただくことができます。その美味しさはネット上でも評判ですが、見るからに新鮮そうなその素材の品々は目を楽しませます。

〜室戸キンメ丼の召し上がり方〜
 ① 室戸の旬の魚の刺身。
 ② 室戸産金目鯛の照焼き。
 ③ 熱い熱い金目鯛の出汁でキンメ鯛茶漬け。




戦後の遠洋マグロ基地として賑わった頃には、漁から戻った船がこの港に着き、漁師は港の上の料亭で久しぶりの街を楽しんだそう。一番室戸が賑やかであった頃の話です。今も、石堤が残されているなど、当時の風情を感じらます。建物の間から覗く港も風情があります。



▼南国に注ぐ眩しい太陽とともに、西へ西へ。

海沿いの道は走りやすく無心になれますね。15分ほど走って道の駅に向かいます。


海岸沿いにあるこちらの「道の駅 キラメッセ室戸」には、鮮魚や朝獲れの新鮮野菜・果物などの直売所「楽市」、地元名産の鮮魚や鯨料理などが味わえるお食事処「鯨の郷」、クジラ漁の資料館「鯨館」があります。直売市場「楽市」には、黒潮の暖かな潮風を受け、温暖な気候に恵まれた地元で摂れたばかりの新鮮な野菜や果物、また、水揚げされたばかりの鮮魚、塩干、加工食品など、 室戸の産品を多数取り揃えています。



売上ランキング第1位は掘りたてのさつま芋。ホクホクの食感と甘みがあり今年の出来は◎だそう。

駐車場の裏はすぐ海。遥か彼方まで水平線が広がります。




ゆったりと30分ほど走って休憩スペースに差し掛かりました。お遍路文化があることから、高知には道沿いにはこういった施設が無数に整備されています。


遠くには大きな船も。室戸岬を回り、太平洋から東シナ海、遠くはインド洋へ向かう船もあるのでしょうね。昔から続く大航海。ゆったりと流れる南国の時間の中、いつまでも海を眺めていたい気持ちになります。


▼花が咲き乱れる北川村「モネの庭」マルモッタンから全国一の柚子産地 北川村へ

北川村「モネの庭」マルモッタンに到着。印象派画家の巨匠クロード・モネがフランスのジヴェルニーにおいて自ら絵を描くために造った庭を、クロード・モネ財団の協力を得て再現した施設です。


園内には約3万平方メートルの敷地に約6万8千本の草花が植裁され、四季折々の美しい景観を楽しむことができます。






園内は「光の庭」「花の庭」「水の庭」の3つの庭園を中心に構成されていて、そのほか子ども向けの森や遊歩道、カフェやギャラリー、ショップ、多目的ホールなどが用意されています。今回の旅では、四季の花々が咲く画家のパレットのような色彩の「花の庭」を散策しましたが、多くの名作を生んだスイレンの咲く「水の庭」なども特に人気です。

『水の庭』
太鼓橋や藤棚・柳に竹、浮世絵の影響を受けたモネの日本を感じる庭は晩年彼をひきつけて止まないものでした。光と、それによる水の反映、時間により移り行く色彩。その風景は多くの作品として生まれました。


モネの絵画の中でも代表作となった「睡蓮」。そのスイレンが色とりどりと咲く池でモネの描いた風景に出逢ってみてはいかがでしょう。池の周囲には「藤」や「柳」「桜」といった日本でもなじみ深い樹木を中心に、赤や黄色や青といった色鮮やかな草花たちが配されています。太鼓橋とバラアーチといった日本文化と西欧文化の融合は、まさに印象派クロード・モネならではの感性の庭ともいえます。(写真は7月の「水の庭」)

『光の庭』
この庭は本家フランスには存在しない世界で1つの「モネの庭」です。海や山の借景も庭の一部と考え、高知の自然のなかで、どこにも存在しないただひとつのモネの庭として新しい庭が2008年に誕生しました。

43歳の頃にルノアールと旅した地中海。その旅でモネは多くの絵を描いています。「光による色彩」に強い印象をうけたそれらの作品はその後の創作活動を知るうえでの重要なポイントだと言われています。その描かれた風景、旅と作品をテーマとして庭を造るという世界でも初めてのプロジェクトが本家「モネの庭」の庭責任者ジルベール・ヴァエ氏の発案と協力により実現しました。それが「光の庭」です。地中海地方の乾いた雰囲気とモネの作品、北川村の起伏にとんだ地形を利用して、ヤシやオリーブなどの地中海付近の植栽と高知の植栽をあわせる造りとなっています。(写真はいずれも施設提供)


モネは43歳から生涯の半分を庭とアトリエのある邸宅で過ごし、創作以外の時間を庭仕事に充てていたそう。彼の想いを再現したここ北川村「モネの庭」マルモッタンで、彼に感情移入して歩いてみました。肌寒くなった11月でも庭には季節の花たちが彩り、バラのアーチやノルマン囲いの造形、花壇ごとに花色を変えたり、混植にして取り合わせを楽しめる花壇など、ゆっくし散策して楽しめました。


ショップでは、モネを中心としたミュージアムグッズ・オリジナル商品をはじめ、高知県で活躍中の作家さんの作品、季節の雑貨、地元特産の柚子果汁ゼリーや手作りの味噌類、地元のお酒やフランスワインなど、様々な素敵なものを購入できます。

今回は季節柄、クリスマスグッズも豊富に揃えられていた。


晴雨兼用のモネの傘も年代を問わず女性に人気。

近隣のゆず農場で収穫されたゆずを使った商品(ゼリー、ドリンク、ドレッシングなど)も豊富。


モネが暮らした家のキッチンやダイニングをモチーフにしたカフェ「モネの家」で一休み。もうすぐ終わる今回の旅を振り返ります。明るい雰囲気の店の表には、北川村の自然が一望できるデッキスペースの席も用意されていて、暖かい日は気持ち良さそう。いただいたデザートセット、こちらのケーキはガトーショコラクラシックは、造園とともに没頭したモネのレシピを元に甘さを控えたクラシックなガトーショコラです。しっとりと上品で大人っぽい美味しさが広がりました。




リンゴとクルミのタルト(左):良質な素材を使い、しっかりと焼きこんだタルト。リンゴとクルミの相性も抜群。
タルト フロマージュ(右):フランス産のチーズを使った、北川村のゆずがアクセントのベイクドタイプのチーズタルト。ほろ苦いキャラメルソースが添えられています。

ジヴェルニーのモネの庭にあるアトリエと家をモチーフにデザインされたギャラリーでは、天窓から自然光がそそぐ明るい雰囲気の中でモネの絵画(複製)や画集、ガーデニングに関する書物や映像を見学できます。



手作り工房では北川村産柚子の果汁をかけたソフトクリームを。バニラの甘さと相まって2つの美味しさが楽しめました。この後、すぐ近くのゆず畑を訪ねて、いよいよ旅の終わりです。




北川村「モネの庭」マルモッタンの近くにはゆず畑が広がっています。高知県は全国シェア40%を誇る柚子生産県で、その1/4が北川村で生産されています。北川村では接ぎ木の柚子ではなく、種から育てて実をつけるまで15年以上かかる実生を多く出荷していることから、香りが高く酸味も強めな北川村産柚子は高い評価を得ています。






今回の高知、東部エリアの記事は如何でしたか?地球の鼓動を感じるダイナミックな景観は写真ではなかなか伝わりませんが、Ternのバイクで輪行し、点在する魅力的なスポットを巡る便利さはご覧いただけたかと思います。使用したバイクVerge N8は8段変速ですが、街乗りだけでなく今回のような旅にもピッタリ、十分な性能を発揮します。











小説「県庁おもてなし課」(有川浩著作)で一躍名前が知られるようになった高知県には、日本で唯一自治体に「おもてなし課」という名前の組織があることも示す通り、見ず知らずの人にもおもてなしをする文化があります。高知県ではお遍路さんを迎え、ともに幸せを願う「お接待のこころ」が地域文化として根付いており、我々観光客も旅の途中途中でその高いホスピタリティの恩恵を受けます。皆さんも単に観光地を巡るだけではなく、高知流のおもてなしに触れる旅に出掛けてみませんか。


今回の記事で使用した製品
 ♦ バイク : Tern Bicycles / Verge N8(Color:Black × Yellow)
 ♦ ヘルメット : LAS / VICTORY(Color:ブラック/イエロー)

Verge N8(ヴァージュ N8)
日本人の体型に合わせて作られた アジア発の限定モデル。
全身をブラックのパーツで構成し、引き締められた印象を抱く。日本を代表するシマノパーツを搭載しコストパフォーマンスにも優れた注目のモデル。
8Speed
Wheel Size:20"
Weight:11.2kg
推奨身長:142-190cm
Seatpost to Handlebar:Min:590mm Max:630mm
Saddle to Pedal:Min:700mm Max:960mm
Folding Size:W79×H72×D38cm
Color:Black × Yellow(全5色をラインナップ)