近江商人たちがかつて住んだ地域は格子戸や見越しの松、うだつなどが並ぶ重要伝統的建造物群保存地区として町並み保存がなされ、近江八幡の代表的な観光地域となっています。近年では、この歴史ある美しい町並みを残していくため市をあげて町家再生にも取り組んでおり、空き町家をリノベーションしたおしゃれなカフェやサロン等が増えています。
またこの辺りは、ヴォーリズ建築が多数現存することでも有名なエリア。明治38年に八幡商業高等学校の英語教師として来日したウィリアム・メレル・ヴォーリズは、太平洋戦争当時、開戦の気配が濃くなり多くの外国人が日本を離れる中でも、自らの意志で日本への帰化を選択、一柳米来留(ひとつやなぎめれる)と改名し、昭和39年に83歳の生涯を閉じるまで近江八幡市に留まり、キリスト教の伝道とその主義に基づく社会教育、出版、医療、学校教育などの社会貢献活動を続けました。ヴォーリズの興した最初の事業である建築事務所の作品は、キリスト教会から学校、一般の商業・オフィスビル、ホテルにまで至り、近江八幡に残る数々の建築物のほか、関西学院大学、旧大丸百貨店心斎橋店、旧大同生命ビル、山の上ホテルなど広く知られるものも多数あります。
今回の記事では、鉄道を利用した輪行で近江八幡に入り、近江八幡市、安土町、能登川町をつなぐ自転車道「びわ湖よし笛ロード」をサイクリング。昼食後は近江商人屋敷が多く残る旧市街地を自転車で散策しながらヴォーリズ建築を探訪する予定…でしたが、あいにくの雨天となったため後半は徒歩で移動しました。帰りは折りたたんだTernをタクシーに載せてワンメーターで近江八幡駅に。フォールディングバイクのTernだからこそのフットワークの軽さを活かしたトリップとなりました。
鉄道を利用して近江八幡へ
誰でも簡単に折りたためるTernのフォールディングバイクなら、気軽に輪行で何処へでも行けます。今回は梅雨入りした関西での小旅行。大阪から一時間ほどで行ける歴史的町並みを目指し、近江八幡まで輪行しました。
輪行(りんこう)とは、自転車の乗員が自転車を公共交通機関(鉄道~船~飛行機など)を使用して運ぶこと。サイクリストや自転車旅行者が、行程の一部を自走せず省略するために使う手段。公共交通機関を利用しない自走以外の移動(例えば自家用車積載)は輪行とは呼ばない。【ウィキペディアから引用】
バイクはVergeシリーズの中核を担うハイスピードコンパクトモデル、Verge P20をチョイス。幅広いギア比が選択可能であらゆる走行シーンに対応する1台です。慣れれば折りたたみは数秒。あとは輪行袋に入れて担ぐだけ。気がついたら旅先に到着です。
フロントはダブルギア、リアは11-32Tワイドギアを採用し、幅広いギア比が選択可能。ハイスピードから急な坂道まで対応でき、街乗りから遠出のツーリングもカバーできる1台。カラーは、ソリッドで美しいブラックをベースに鮮やかなオレンジのラインカラーが入った Black × Orange。 |
輪行というと、前後輪を外してエンド金具を装着したりフレームを養生したり、そしてフレームに車輪を固定して輪行袋に入れる…慣れないとハードルの高い作業を連想するが、Ternのフォールディングバイクならサクッと折りたたんで袋に入れるだけの簡単作業。輪行袋を常備しておくと、輪行の予定が無くても突然の雨やパンクといったアクシデントで電車に乗って帰る際などに重宝する。 |
というわけで滋賀県近江八幡市に到着。往路は近江八幡駅の隣駅、JR安土駅で下車し、サイクリングに出発しました。
一眠りして滋賀県入り。梅雨曇の広がる空を心配しつつも笑顔でスタート。 |
旧市街地に入らずとも、雰囲気のいい町並みが広がる近江八幡市。町並み散策への期待が高まる。 |
サイクリングロードに、水郷巡りに
サイクリングは安土駅のすぐ近くも通る自転車道「びわ湖よし笛ロード」に沿って。この「びわ湖よし笛ロード」は、近江八幡市鷹飼町を起点に東近江市山路町附近に至る26.6kmの一般県道の愛称で、近畿地方最大級といわれるヨシ(アシ)群落から命名されています。
全線にわたって赤茶色のカラー舗装が施されており、景観、施設、路面状況などの面で、初心者にもやさしくファミリー向けのコースと言える。 |
コースは自転車・歩行者専用道で構成されており、走りやすい。 |
ラムサール条約にも登録された条約湿地「西の湖」を中心とした河川、湖沼、湿地エリアは、「安土八幡の水郷」として広く親しまれています。水郷めぐりはあまりにも有名。
「びわ湖よし笛ロード」は西の湖沿いにも走るので、こういった風景を見ながら走ることができる。琵琶湖の内湖の多くは明治時代以降に干拓され、現在残っている大きなものは西の湖だけになっている。 |
ヨシ原の間を縫うように航行する、手漕ぎの水郷めぐり船風景。 |
西の湖周辺には葦原特有の湿地生態系が残されており、近江八幡市が水郷風景計画区域の重要文化的景観への選定を国へ申し出た結果、西の湖、長命寺川、八幡堀と周辺の葦地が重要文化的景観選定制度適用の全国第1号として「近江八幡の水郷」の名称で2006年に選定を受けた。 |
いよいよ風が強くなり時折小雨がぱらつくようになったので、早々に旧市街地を目指す。 |
昼食は和の心を感じる京料理を
風情豊かな町並みの中、八幡堀沿いにのれんを掲げて60余年となる「京料理 宮前」にお邪魔しました。夜は会席料理のみですが、お昼はランチメニューから会席料理まで幅広く提供されており、庭園と八幡山の風情豊かなロケーションを堪能できるテーブル席のほか、花鳥風月を感じさせるお庭を眺めながら食事をいただける大小のお座敷も。
サイクリングをひとしきり楽しんで、一休み。湖国の豊かな実りを感じる中庭を眺めながらいただくランチで、改めて和の心を取り戻す。 |
京料理の技法にて、器を舞台に四季が織りなす料理が楽しめる宮前。ランチメニューでは京野菜や近江野菜をメインに、近江名物の近江牛や赤蒟蒻、丁字麩もいただけます。 |
ランチメニューでは時季に応じた一品が。この日は林檎の果肉を使ったアイスが提供されていた。 |
一つ一つの食材の持ち味を京料理の技法で最大限まで引き出し、心躍りそして安らぐ味創りをされている同店。佃煮は琵琶湖の恵みを代々女将が炊かれているそう。夏には中庭で、琵琶湖産鮎を備長炭で焼かれるなど、数々の美味を堪能できます。
(写真:京料理 宮前 広報用写真) |
四季折々の表情を見せる八幡堀を眺めながら一歩足を踏み入れれば、自慢の庭園が迎えるゆっくりと落ち着いた世界へ。(写真:京料理 宮前 広報用写真) |
庭園と八幡山の風情豊かなロケーションを堪能できる、玄関横のテーブル席からの晴れた日の景色。(写真:京料理 宮前 広報用写真) |
ヴォーリズ建築を訪ねて
近代建築好きなら避けては通れないヴォーリズ建築。午前中のサイクリングでは、「びわ湖よし笛ロード」で近くを通るヴォーリズ記念病院旧日本館を遠くから眺めてみました。病院建築として古い歴史をもつとともに、建物の外観や病室の採光、通風など、人にやさしい設計を重視するヴォーリズの作風がよく現れており、2014年に登録有形文化財に指定されました。
昼食後は近江商人屋敷が多く残る旧市街地を自転車で散策しながらヴォーリズ建築を探訪する予定でしたが、あいにくの雨天となったため後半は徒歩で移動しました。まずこちらは、池田町洋風住宅街(ヴォーリズ建築群)。ここ池田町は若き日のヴォーリズが自宅を構えた場所(旧居は現存せず)で、ヴォーリズ邸に隣接して建てられた彼の手になる洋風住宅群を現在も目にすることができます。
ダブルハウス:池田町洋風住宅街で最も北に建つ、2軒続きの二世帯住宅。建築時はヴォーリズの両親や、アメリカ人技師の入居先となり、現在は一般の住宅として使用されている。 |
ウォータハウス記念館:初期の近江ミッションに加わり、宣教活動に取り組んだ伝道家の一人のウォータハウスが、妻とともに暮らした住居。この辺り(池田町洋風住宅街)にはヴォーリズが大正期に手がけた初期の作品で、アメリカ開拓時代を象徴するコロニアルスタイルと呼ばれる建築が多数残る。 |
郷土資料館:明治19年(1886年)に八幡警察署として建設された近江八幡市立資料館のひとつで、昭和28年(1953年)の大幅な改築の際にヴォーリズ建築事務所が設計を行った。手に持っているヘルメットは、世界中のプロライダーから支持され続けるLASのフラッグシップモデル VICTORY(Color:ホワイト、Size:SMALL)。スピードを感じさせる流麗なエアロフォルムに、進化した「New CAT-EYES EVO2 3D System」を搭載。25のエアインテークとシェル内部を縦断する通風溝が頭部のムレを抑えて高い冷却効果を実現。頭と一体化しそうなほど優れたフィット感で、走行中のストレスを抑えてベストパフォーマンスを導く。 |
近江兄弟社学園ハイド記念館:ヴォーリズの妻が園長を務めた幼稚園の園舎として昭和6年(1931年)に建設されたヴォーリズ建築。建設費を寄付したメンソレータム創業者のハイド夫人を記念して、ハイド記念館と呼ばれている。クリーム色のスタッコ壁に白い窓枠、赤い瓦が可愛らしく、ヴォーリズの特徴がよく出ている。 |
今回は紹介できていませんが、ヴォーリズ建築を補修改築しカフェの特別室として公開されている店舗なども近江八幡にはありますので、ヴォーリズ建築ファンの方は要チェックです。
近江八幡のシンボル、八幡堀
八幡堀は、安土桃山時代に豊臣秀次が八幡山城を築城した際、市街地と琵琶湖を連結するために造られた人工の水路。城下町の都市計画として整備され、城を防御する軍事的な役割と、当時の物流の要であった琵琶湖の水運を利用する商業的役割を兼ね備えました。この八幡堀により船や人の往来が増えたことで商業が発達し、八幡山城廃城後の江戸時代には近江商人(八幡商人)が町の発展に大きな役割を果たしました。
この八幡堀が琵琶湖水運の要衝として設けられたことから町は大阪と江戸を結ぶ重要な交易地として発展し、堀沿いには裕福な豪商たちの白壁の土蔵や旧家が建ち並ぶ。八幡堀を含む旧市街地約13.1ヘクタールは、「近江八幡市八幡」の名称で重要伝統的建造物群保存地区として選定されている。近江八幡市内では現在5社が「水郷めぐり」や「八幡堀めぐり」を行っている。 |
船橋は文字通り船の上に渡された浮橋で、特にこの橋から西の趣のある風景は時代劇の格好のロケ地になっている。また風情豊かな家並みとともにこの橋自体もドラマの舞台となっている。 |
近江八幡の歴史文化を生み出し、今は観光名所として位置づけられるこの八幡堀も、市民が八幡堀との関わりや関心を失った昭和40年代後半には、埋め立ての予算が国に計上されていた。しかし、近江八幡青年会議所の呼びかけをきっかけとした清掃活動から市民運動が高まり、近江八幡のまちづくりのシンボル、また観光地として今の風情ある風景を取り戻した。 |
白壁が立ち並ぶ八幡堀は、冬は雪、そして春には桜並木など、季節に応じて素晴らしい景色をみせる。また八幡堀だけでなく近江八幡全体が趣のある町並みを形成している。 |
四季を通じて何度でも訪れたくなる場所。梅雨の合間に訪れた近江八幡は、そんな印象を残しました。今回は昼からの降雨により後半は徒歩で旧市街地を散策しましたが、近江八幡にはサイクリングに適したルートが琵琶湖沿いにも広がります。各種案内版や休憩所、資料館、ボランティアによるガイドなど、観光にもサイクリングにも優しい環境が整備されており、初めて訪れる方でも楽しむ事ができる町です。ぜひ皆さんもTernのバイクで近江八幡の自然や文化に触れてみてください。
今回の記事で使用した製品
♦ バイク : Tern Bicycles / Verge P20(Color:Black × Orange)
♦ ヘルメット : LAS / VICTORY(Color:ホワイト)
Verge P20(ヴァージュ P20)
マルチパーパスなミッドモデル。
Vergeシリーズの中核を担うハイスピードコンパクト。フロンドダブルであらゆる走行シーンに対応する1台。よりスポーティーに、よりスタイリッシュに。
※参考Link → Pickup Model:Verge P20
20Speed
Wheel Size:20"
Weight:11.2kg
推奨身長:142-190cm
Seatpost to Handlebar:Min:580mm Max:640mm
Saddle to Pedal:Min:690mm Max:950mm
Folding Size:W79×H72×D38cm
Color:Black × Orange
撮影協力
♦ 京料理 宮前 滋賀県近江八幡市本町1-8
※各スポットは、事前予約で内部の見学が可能なところ、見学は不可のところなどが混在しています。一般住宅なども含まれていますので、外観のみの見学でもマナーにご配慮ください。